僧侶のためのグリーフケア連続講座 福岡クラス 第2講

「僧侶のためのグリーフケア連続講座 2019-2020 福岡クラス」第2講 報告

2020年1月20日(月) 10:00〜17:00 於:光薫寺

福岡クラスの 妙慶院住職 加用雅信 です。「僧侶のためのグリーフケア連続講座 2019-2020 福岡クラス」第2講をご報告します。

福岡市博多駅からほど近い光薫寺さまにて第2講が開かれました。暖冬ということで例年より温かい日が続いていましたが、当日は少し肌寒い曇り空のもと会場に向かいました。

主に九州各地の僧侶やお寺に関わる人たちが集いました。残念ながら今回ご欠席の方もおられる一方で、前回ご欠席で今回が初参加の方も大阪クラスや東京クラスから振り替えで受講される方もいらっしゃいました。

本講座のファシリテーターはリヴオン代表のてるみん(尾角光美)さんです。前回は名古屋クラスを修了し多方面でご活躍のまっちゃん(明願寺の松野尾浩慈)さんがファシリテーター補佐としていらっしゃいましたが、今回はてるみんさん一人での進行でした。

会場に到着したら前回手づくりした自分の名札と今回のテキストを受け取って席に着いて少しリラックス。時間がきたら全員で一つの円をつくってチェックインです。てるみんさんにトーキングピースを渡された人から反時計回りの順に、今日呼ばれたい名前と今の気持ちを色にたとえるどんな色かを紹介して講座が始まりました。

第2講「セルフケア」は自分自身を知る時間というテーマでした。今日の流れについて説明を受け、本講座のグラウンド・ルール「大切にしたいこと」を再確認したところで、前回の宿題を4人のグループで共有するワークをしました。前回の内容をお寺に関わる女性に共有し「女性的な視点で見たグリーフケア」について聞いてきたことを4人1組のグループで紹介し合いました。

続いて2人1組で「寄り添う」を表現するワークを行いました。寄り添うという言葉はさまざまな場面でよく使われますが、寄り添うというのは具体的にどういう行為になるのか言葉を使わずに身体で表現してみるワークです。グリーフを経験した人と寄り添う人を交互に実践し、お互いの感想を共有しました。グリーフ役の様子は演じる人によって違い、多種多様に寄り添っている場面が繰り広げられていました。身体だけで感覚的に取り組むので、位置関係も距離感も触れたり触れなかったりも目線や表情も、人によって違うし同じ人でも時と場合と状況により関係性が変化するので、正解はありません。ワークで体感した感覚と共有された感想は今後に役立つことでしょう。

10分の休憩を挟んで自分の喪失を振り返る「ロスライン」を描くワークに取り組みました。

八つ切り画用紙に自分が生まれてからこれまでの一生を線で描きます。その時どきの出来事を書き、その時に感じたことや反応などを言葉でもイメージでも構わないので書き込みます。10分で描けたところまでのロスラインを3人1組で順々に語りました。

このロスラインのワークを通して自分の揺れやすいグリーフを知っておくと、他者のグリーフに触れたとき不必要に自分も一緒にゆれなくて済みますし、他者のグリーフも想像しやすくなる、とのことです。なお、何か得たことが失ったことにつながっていたというポイントを敢えて視覚化して認識しておくことは大事な学びのポイントでした。

1時間の昼休憩を挟み、午後一番は「セルフケア」の講義です。まず「セルフケア」と聞いて思いつくことを参加者一人ずつが順番に挙げていきました。続いて3種類のセルフケア、セルフケアの必要性、3つの要点、気づき方などの話を聞き、自分自身についてセルフケアの傾向を知るワークをしました。

筆者です。

どんなことをするとセルフケアになるか付箋に書き出してタイプごとに分類し全員で共有したあと、自分の子どもの頃を振り返り嬉しかったことと嫌だったことを見つめ直すことで自分自身をケアする力について考える時間がありました。それらを踏まえて「セルフケアの地図」をつくるワークに取りかかりました。四つ切りの画用紙に薄く印刷された地図を下貼りしてスタートとゴールを決め、途中の道を自由に描き、セルフケアの手がかりとなるマイルストーンを配置していくというものです。マイルストーンの参考となるキーワードは用意されていますが、自分好みに自由にアレンジして構いません。自分のキーワードを決めたら、マイルストーンに合うイメージや写真などを雑誌から切り抜いて貼り付け、セルフケアの手がかりとなるキーワードを書き入れてコラージュを完成させます。アメリカ発のアートワークを応用したもので、コラージュをつくって目に見える形に視覚化することはイメージ実現につながるというものです。他にもワークビジョンボードやドリームマップなどよく似たコラージュアートワークがあります。約30分という限られた時間で作れたところまでで、どんな地図でどんな歩みをしていくのかを4人1組で3分間ずつ語ってお互いのワークを共有しました。セルフケアの地図づくりをすると、けっこう自分は傷を負っていたということに気づいた、とか、自分に限らず周りの人もいろんな傷を負ってきていることを知った、という感想が多く聞かれました。

10分の休憩を挟み、4人1組で「お寺・仏教×セルフケア」という最後のグループワークをしました。人が自分自身を大切にするため、セルフケアをするために、お寺や仏教はどんな力を持っているのか、どんなことが具体的にできるのか、を模造紙に書き出していきました。終わったところでグループごとに模造紙を掲げて発表し、全員で共有しました。グループによって挙げられるキーワードに違いがあり、いろんな実践の可能性を学ぶことができたのはとても意義深いことでした。

発表の風景。

次回についての案内を聞き、次回までのホームワークの説明を受け、今回の講座のアンケートに回答したところで、全員で一つの円をつくってチェックアウトしました。トーキングピースを渡された人から時計回りの順で、今の気持ちを色にたとえるどんな色かを添えて簡単に感想を話し終え、今回の第2講が終わりました。

以上、福岡クラスの 妙慶院住職 加用雅信 による「僧侶のためのグリーフケア連続講座 2019-2020 福岡クラス」第2講のご報告でした。