お寺からつながるグリーフサポートin関西

「お寺からつながるグリーフサポートin関西」 開催レポート(和田隆恩)
2020年11月24日(火)18時~20時半 於:京都・聞法会館

コロナ禍で、当初の日程通りには進まなかった「僧侶のためのグリーフケア連続講座in関西」ですが、ようやくこの日を迎えられました。私自身、本講座にも準備会にも半分も参加できず、改めて学び直す気持ちでこの場に臨みました。

このレポートでは、あえて客観的なことを書かず、私の印象深かった言葉、考えたことを「ままに」記していこうと思います。皆さんの「ままに」との差異を楽しんでもらえれば幸いです。

はじまりのことば:てるみんさん

オンラインでZoomとつなぎながら配信!

・各々の「ままに」を大切にします。
・自分の過ごしやすさを大切にします。

チェックイン・アイスブレイク:きよまろさん

・【あなたを漢字一文字で表すと?】
私が「あなたのいい漢字」から選んだ三つは、「面接・書道・題字」。
そこから連想した漢字は、「伝」。ちょっと出来過ぎな感もありました。
同じ組の人が選んだ言葉を探したり、意外な字(漫画太郎!)を見つけたり、
この楽しい方法はいろいろな場で使えるなぁと思いました。

講座概要発表:こうゆうさん


・逆縁の苦しみを受けているご両親に何かしてあげられなかったのか?
・「GRIEF IS NORMAL」
何かを失った後の反応や過程、グリーフの大きさや重さは、人それぞれ。
・いろいろな感情をオノマトペで表現するワーク。
・喪失から回復へは一本道ではなく、行ったり来たりをしていく。
・セルフケアの力を身につける。自分自身を見る力。自分自身を大事にする力。「私」に気づく私。

学習発表:藤本照美さん

【ままに語り ままに聴くことの大切さ】

丁寧に語る照美さん。

・10代で亡くなったお二人のご家族に何ができるのか?
・「予期しない自分の身心の反応に戸惑われていたが、
それも自然なこと。それも大切にしていこう」と伝えたら、安心なさった。
・照美さん自身も、その後の反応を受け入れられるようになった。
・悲しみの身のままに出遇える世界がある。

企画発表1:高島正哲さん

【雲松寺 ともしびの会】ピアサポート

世話人も務めてくれた正哲さん

・同じような立場の仲間同士の支えあう場。
・安心してありのままの語りができ、自分の気持ちを吐露できる場。
・語ることによって自身の心身の現在地を観察できる場。
・先を歩く人と交わり、同じような境遇に現在苦しむ人に手を差しのべる場。
・お互い個々人がそれぞれに大切な存在であるということを再確認する場。
・自分のグリーフを受け止め、抱えながらもその後の人生を前を向いて生きていけるようになることが目的。
・重荷を降ろす選択肢の一つに、お寺があるように。
・「お寺は心のお風呂やさん」汗を流し埃や垢を落としてサッパリするため。
・いつ、どこで、どのような形で大切な人を亡くしても、
その人が必要とするサポートを確実に得られる社会の実現。
「どこで」をお寺が担えれば、状況はかなり変わるのではないか。

企画発表2:中杉隆法さん

 【西林寺 悲しみから開かれる聞き語りの会】

中杉さんの発表を真剣にみなさん聞いている

・相手の思いを肯定しあう。比較したりジャッジをしない。
・水平に聞き語り合う。できるだけ仏教用語を使わない。僧侶に仏教用語を求めない。
・話せなくても大丈夫。まだ話せないと認め合う。
・この場で話されたことは絶対によそで話さない。
・家族でも、ただどうしてもこのことだけは誰かに伝えたい、聞いてもらいたい(セルフケアとしても)というときは必ず相手の許可を得る。
・目の前のひとりの悲しみに寄り添いたい。 1対1の対話
・ひとり(わたし)×ひとり(あなた)   わたし+亡き人+あなた

私は広島でご遺族の分かちあいを開いていますが、そういう場を望まずに
1対1の対話を望む人は少なくないです。自分の話を聞いてほしい人は、
そういう場こそ望み、亡き人を感じられるお寺はそれに相応しい場です。

・自死した後輩の写真の笑顔を、ご両親に知ってもらえた。
・「亡くなった人」から「生きた人」へ

アイスブレイク:岩田尚登さん

 【親指で今の気持ちをあらわす】


私は親指を水平にしました。皆さんの発表を聞いて高揚しましたが、レポートを書かなきゃというプレッシャーを思い出し、相殺されました。

参加者ワーク:イエティさん&寺坂和道さん

【ロスライン】自分のグリーフを知り、大切にするためのワーク

・自分が生まれてからこれまでの一生を表した線を引く。
線の形は自由、ぐるぐるでも、直線でも、ゆらゆらでも。
・線の上側に失った「出来事」を書く。下側にその時感じたことを書く。
イメージを描く。
・得たことも失ったことであることがある。
「妹が生まれる」=「一人っ子の時代の喪失」
「中学校入学」=「小学生という身分の喪失」
「結婚」=「独身時代の自由の損失」
・書きたいもの、書けるもの、共有したいものだけ書いてみる。
・自分自身の心身の反応に「ままに」従って大丈夫。
しんどくなったら休んで抜けても大丈夫。
・グループで話す内容
これまで生きてきた中で、いつ、何を失ったのか。その時に、心や体にどんな反応があったのか。ロスラインの内容は全てを話さなくても、自分がグループ内で共有したい経験に絞っても大丈夫。書いてみた感想のみの共有もOK。


私と同じグループには住職後継の人がいて、周囲からの期待がグリーフになっていることを具体的に教えてもらいました。私は在家から入寺した身なので、そのような経験はありませんが、我が子には同様のグリーフを感じさせている可能性に気づかされました。

ゲストスピーチ1:坂下裕子さん(代表)


・子を亡くした直後、手も合わせたくない。お仏壇も要らない。
・子の七日参りは嫌だったが、義母の七日参りの時は法話を聞きたかった。
・子の死を受け入れられず、1年後に会を立ち上げた。
・20年経ったが、子を亡くした親の気持ちは変わらない。
・オンラインよりオフ会を望む。・親は自分を責める。
・お手次のご住職がどうにかしようとしなかったのも有難かった。
僧侶は何とかしなきゃと思いがちですが、「何もしなくてもいいんです」と
いう話は、ホッとすると同時に勇気づけられました。

ゲストスピーチ2:黒川雅代子さん(関西遺族会ネットワーク代表)


2011年10月、関西地域の遺族会19団体が「関西遺族会ネットワーク」を作り、遺族会の運営スタッフが、遺族支援のための情報交換をしたり、勉強しあったりしている。これから遺族会を作りたい人へのサポートもしている。そして、同じ立場の人たちが集う場所に出会いたい人たちのためのホームページを立ち上げた。現在42団体。

広島にも、自死遺族の分かちあいのネットワーク「自死遺族支援団体連絡会」があります。広島県が取りまとめていて毎年1回集まって各団体の活動状況報告等の情報交換をしています。多様な団体があることはご遺族にも好ましく、掛け持ちしている人もいるので、他の団体の様子を知ることは有益です。

おわりのことば:じゅんさん

亡きお父様のことも語られる順さん。
オンラインでご参加の方ともあわせて記念写真!

 

筆者の和田(右)です。