『葬儀にお坊さんを呼ぶ割合は? 約30%』
驚愕の数字が目に飛び込んできた。
何より私の中でその問い自体が頭の中で反復された。
『葬儀にお坊さんに来てもらうのは当たり前では、、、?』
九州の田舎で生まれ育った私にとって、信じられない質問だった。
こんにちは。いつも皆様には大変お世話になっております。越谷 源妙寺にお仕えさせていただいております寺族の渡邊麗美と申します。
この度は 僭越ながら講座のレポートを書かせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は師走まであと一歩と迫った十一月の終わり。
いつになく暖かな日差しに恵まれた小春日和の昼下がり。
埼玉県日蓮宗青年会主催 青年層のためのグリーフケア連続講座
『第5講 僧侶、お寺にできるグリーフサポート』と題し 会場は前回同様に妙仙寺 仙太郎会館にて催されました。
今回は特別講座となり ゲスト講師として 東京は谷中にございます長久寺さまより小田教傳上人、更には 川越の本応寺別院さまより我らがお兄様である星光照上人にお越しいただき、貴重でとてもリアルなお話を頂戴するというまたとない機会をいただきました。
この場をお借りして今一度お礼を申し上げます。大切なお時間を頂戴し 心に響く熱く思いやりの溢れるお話をいただきまして誠にありがとうございました。
まず初めに 毎回の恒例チェックイン。なんと今回出席していた青年会員二名さまにちょうどお子様が誕生されたというとてもおめでたいご報告から始まり 会場の雰囲気もとても暖かいものとなり 司会進行のテルミンさん、ゴッちゃんさんのリードによりまた本日も和やかな雰囲気でスタートしました。
ゲスト講師 小田上人にマイクが渡りました。
最初に言われた言葉『お釈迦さまのお話は毛穴から入るんです。そしてちゃーんと魂に届くものなんです。だから安心してくださいね』と。
一生懸命に聞き漏らさないように聞かなきゃ と固まっていた私の心が解け、
一気に小田上人の世界に引き込まれてしまいました。
『丸腰〜何もいらないグリーフサポート』と題された今回のお話。
まず お寺の数などの推移 仏教伝来からの歴史に始まり 先人たちの仏教の捉え方
実践の仕方、、、仏教がなぜ日本人に受け入れられ 日本に根付き 発展してきたのか。
現代の日本であっても 葬儀の時の弔い方は仏教が87%を占めているのだそう。
室町時代より始まったというお葬式。なんと日本の仏教は 祈祷加持10% 弔い90%という大きな割合で発展を遂げてきました。
それには大切な二つの要素があったと思います。
日本人独特の仏壇を祀りし、『亡くなった方と繋がりたい。そして魂があの世に行ってもなおどうか無事でいてほしい』いう人々の願い。
そして そこに携わる先人たちが仏教という目を通して 誠実に 真摯に 人々に寄り添い“弔い”を実践してきたからではないかと強く感じました。
そして 私たち寺族が誠実であろうとすれば するほど この信仰というものが人々に届き、さらに発展し 拠り所になって行くのではないか と。
続いて 日蓮宗青年会OBであり卒業生のファシリテーターでもいらっしゃる星光照上人へとバトンが渡されました。
どういう感覚で人々と接し グリーフサポートを実践してらっしゃるのか。
なぜこのお上人の周りに人々が集まるのか、、、
このお上人の纏っている雰囲気の理由が少しわかったような気がしました。
『人々の‘横’に並び ‘線’で繋がる』
人々の上でも下でもない。 その時だけの‘点’で繋がるんじゃなく ずっとあなたを見ていますよ と心で繋がる。
誰だって一人ぼっちでは生きていけませんし 承認されたい 誰かに見つけてもらいたい と心の中で思っているのです。
こんなふうに人々を見て 心を見つめてくれる人がそばに一人でもいてくれたら、、、
誰かの苦しかった心も いつしか救われることがあるかもしれないと思いました。
本日 お二人にお会いでき 心にたくさんの言葉が溢れました。
グリーフケアとは何か。
私は 大切な人を亡くした遺族にとっての葬儀という今日も、
49日経った四十九日法要という今日も、四季もひと回りした一周忌という今日も、
そして32年という歳月が流れた三三回忌の今日だって
本質は何も変わらず 大切な人を亡くした人々にとってはその日自体がグリーフであり、
お迎えする私たち寺族にとっては毎日がグリーフケアの実践 寄り添いの場であるということを強く感じました。
思いを馳せて準備する色鮮やかなお供花、故人の好きだった菓子、果物の数々、お塔婆一本にしても全てがその人たちのグリーフの表れ。
だからこそ 今を生きる私たちにとって‘お葬式仏教’こそ何より大切で、
私たちにしかできないことを 本気で 真面目に 一生懸命取り組むときだと心に刻みました。
最後に、、、私はこのグリーフケア連続講習に出席させていただき 毎回 毎回が私自身のグリーフケアの日でした。学ばせていただいていたつもりが 私自身が救われていました。
本当に貴重な経験と時間をありがとうございました。