【開催報告】日蓮宗埼玉青年会主催 ★青年僧のためのグリーフケア連続講座 第4講レポート

こんにちは
埼玉県日蓮宗青年会会員の小川築希と申します。


現在は葬祭業に携わりながら僧侶の道を歩ませていただいております。
令和5年10月31日、第4講が開催されました。
第4講の学びの目的は「聴く」と「対話」です。
グリーフを抱く人の想いや語りを「聴く」ことと「対話」をすることについて体験的に学ぶ。日常や、現場における自らのあり方を振り返り、これからに活かしていくための手がかりを得るという内容です。

 

最初は言葉の実験ということでワークを行いました。2人がAとBの立場になり、台本に書かれている文章を読みます。
ただ文章を読むのではなく、
・大きい声で読む
・小さい声で読む
・早口で読む
・ゆっくりと読む
・相手の言葉尻を追うように読む
・1人は立って、もう1人はいすに座ったまま読む
・最初は向き合いながら、途中でお互いに背中を向けて、もう一度向き合って読む
・横並びで小突きあいながら読む
など様々な言葉の実験が行われました。

実験から感じたことは、早口だと相手を急かしているように聞こえ、ゆっくりだと落ち着いて余裕のあるように聞こえました。一方は子供でもう一方は大人のようにも聞こえ、声の大きさや速さでかなり印象は変わるのだと実感しました。
「一旦視線を外してもう一度向き合うとお互いの距離が縮まったように感じた」、「小突き合いながらだと相手の力のほうが強く感じる」という声もあがっておりました。

言葉の実験から、
・同じ目線の高さで話すほうが安心を感じられる。
・相手よりゆっくり話すほうが落ち着いて聞くことができ、傍から見ても落ち着いて話を聞いているように見える。
・ずっと向き合うと疲れるので一旦席を離れるなどして、視線を外してみるとお互いに休めて安心できる。
すぐに実践できそうな色々な発見がありました。
そういえば会社勤めの頃に「重要な話や想いを伝える時は向かい合って話をするのではなく、できれば横並びで話をした方が良い」とアドバイスを受けたことを思い出しました。日々の現場に活かして話をしやすい、聞きやすい環境を作っていこうと感じました。

 

言葉の実験の後はメインである「聴く」と「対話」のロールプレイを行いました。
三人一組となり、「遺族」「僧侶」「観察者」の3つの立場にわかれてのロールプレイです。
シナリオも三つあり、グループによって三回とも同じシナリオで行うグループと全て違うシナリオで行うグループがありました。
私のグループは三回とも同じシナリオでのロールプレイとなりました。

ロールプレイでは、「観察者」の視点から客観的に「遺族」の想いを感じることが出来ました。「観察者」の視点で「僧侶」を見たときには目線や話を聞く姿勢、細かい仕草などに注目しながら見ることが出来ました。「遺族」の想いに対して「僧侶」がどう答えるのか、聞きたいことに対して答えにズレはないのかを冷静に見ることが出来たように思います。

次に役割が変わって、「僧侶」の役割から「遺族」との対話では、早速言葉の実験での学びを活かそうとしました。遺族の方の想いや投げかけ事項(この質問を僧侶に聞くというシナリオがあります)に対してどう答えるかを考えていると、同時にたくさんの事を意識しなければならないので全身を使って集中しなければいけないと感じました。

最後に「遺族」としての役割で「僧侶」に対して対話をしました。「僧侶」がどう答えてくれるのかも重要ですが、「遺族」のぶつけようのないこの想いを目の前の人はどこまで聞いてくれるのだろうか、真摯に向き合ってくれるのだろうかという想いが「遺族」の役割をしながら出てきました。

私のグループは三回とも同じシナリオでした。「遺族」の立場になった時、まだまだ経験が浅い私は自分が「僧侶」として聞かれたら悩んでしまうような質問をしました。ロールプレイの振り返りの際に「一発で決めなくてもOK」、「逃げはクセになる」という心構えを教えていただいたので私にとっては具体的なロールプレイが出来て良かったです。

 

ロールプレイのあとは解説、「聴く」と「対話」を学ぶ講義となりました。
「スキル<在り方」、「『聴く』は能動的な全身表現」等、ロールプレイをして実際に感じたことでした。
今回の学びの目的は「聴く」と「対話」でしたが、ロールプレイで「遺族」「僧侶」「観察者」の体験を通して、自らのあり方やこれからに活かしていくための手がかりを得られたと思います。
「お坊さんとして聞いてほしいのか、それともまずは話を聞いてほしいのか、人それぞれである」この言葉に正直気持ちが少し楽になりました。まずは目の前の人の話を聞くことが始まりで、その聞く前の段階として人から話しかけやすい姿勢や在り方も深めていかなければとハッとした一日でした。これからも日々の現場に活かし実践していきたいと思います

第4講もありがとうございました。