この夏、リヴオンが立ち上げた死と死別ワークショップ(仮)ではライティング・グループというものを行っていますが、新たに「継続する絆 (Continuing Bonds)」勉強会(以下、CB勉強会)を立ち上げることにしました。
継続する絆とは「亡き人とのつながりを継続することは自然(正常)なことだ」ということを理論化したものです。アメリカの宗教心理学者デニス・クラス氏が日本の先祖崇拝にヒントを得て、生み出した概念です。
グリーフについての研究では20世紀に、喪失(死別)後、段階的に「受容」に向かい、なくしたものとのつながりを断って、「乗り越える」ことが目指されるような理論が多く生み出されました。ステージ理論(段階説)、フェーズ理論といったものが当てはまります。そうした理論に対して、疑問を投げかけ、画期的なアイデアとして生み出されたのが「継続する絆」です。この概念が生まれるまでは、いつまでも亡くなった人に話しかけたり、遺品を大事にとっておいたりなど、亡くなった人とのつながりを継続するということは「異常(病的)」とみなされやすかったのです。
「病気」とまではいかずとも「あの人はいつまでも引きずっている」「まだ受け入れられていない」というまなざしは、新たに理論が更新されてきた現在であっても、世界中にあるのはないでしょうか。
CB勉強会では、そもそも「継続する絆」とはどのような概念のか、そしてその概念がどのように広がりを見せ、応用されたり、批判をされたりしながら発展してきたのかを、関連する論文などをもとに、みんなで検討、議論したいと思います。
開催概要
日時:毎月一回、夜18:30-20:30開催。前月に日程が決まります。
参加登録をしてくださった方に毎月ご連絡しております。
場所:オンライン(毎回)参加登録者にzoom URLを送ります。
参加対象:原則、死や死別(グリーフ)、葬送、儀礼、墓地、供養に関わる研究者であればどなたでもご参加いただけます。「継続する絆」について全く知らない方でも構いません。
開催頻度:月に1回程度
お申し込み:参加登録フォームに入力
※12月に参加されない方で今後開催の案内がほしいかたはぜひご登録ください。
主催:死と死別研究ワークショップ(一般社団法人リヴオン)
連絡先:宮澤安紀(死と死別研究WS コーディネーター)
aki.miyazawa0962★gmail.com (★を@に変えて送信)
参考その1:「日本人遺族に応じた遺族ケアのあり方に関する研究-故人との「継続する絆」-」
関西福祉科学大学健康福祉学部・准教授 坂口 幸弘
参考その2:Podcast ゆるやか死生学のシリーズ「死は乗り越えるもの?」