こんにちは。
僧侶のためのグリーフケア連続講座in広島の世話人、唐溪悦子(からたに えつこ)と申します。(写真中央)
浄土真宗本願寺派の僧侶をしながら会社員をしています。
わたしは自身の離婚という出来事から、どうしたら他者を大切にできるのかを模索する中でグリーフケアに出会いました。
大切にできないかもしれないけど、大切にしたい自分であれる、そんな可能性を感じグリーフケアを学んでいます。
「僧侶のためのグリーフケア連続講座」が5月より広島にて開講されます。
本講座の体験として、令和6年4月25日に妙慶院(広島市中区)にてプレ講座が開催されました。プレ講座ではグリーフケアの基礎を学んだり、実際にロールプレイを行うなど本講座を凝縮した内容でした。
講座を進行してくださるのは尾角光美さん(てるみん)と五藤広海さん(ごっちゃん)のお二人。この場を管理するのではなく、この場にいやすくするファシリテーターとして「この講座で大切にしたいこと」(グラウンドルール)の説明をしてくださいました。
1.グリーフケアの基礎を学ぶ
まずはグリーフケアの基礎を学びます。
「喪失」とはなにか、そして「喪失」を受けて生まれるものにはどのようなものがあるのかを説明していただきました。
グリーフの反応には「安心」や「無感情」というものも含まれていて、指紋のように一人ひとりが違っている、そしてそれは正常で自然なものという、グリーフケアの姿勢にここに存在していいんだという安心感を抱きました。
グリーフの基礎について学ぶ中で「なくしたものになる」ワークというものを行いました。
2人一組で相手の失くした物(人や動物以外の物)を聞いた後、その「物」になって持ち主だった相手に言葉をかけるというワークです。
どんな思い出があったのか、失くした時はどんな気持ちだったのか、いろいろな質問をする中で感じたことは、今は手元にないけれど大切なものだったということ。
その大切な物の話を聞かせてもらいながら、悲しいけれどなんだかあたたかな気持ちになりました。
2.グリーフケアにとって大切な「聴く」と「対話」を学ぶロールプレイ
3名ごとのグループに分かれ、遺族、僧侶、観察者の3つの役割になり渡されたシナリオに添ってロールプレイを行いました。
遺族と僧侶は7分間お話をし、観察者は見守ります。
その後お互いの感想やアドバイスを共有しました。わたしは観察者役でしたが、その場にいた7分間は思っていたより短く、こんなところ終わってしまうのかと感じました。
会話や距離、うなずき方などを俯瞰してみることができる観察者は、「なんていったらいいかな」や「失礼がないかな」と自分の気持ちに飲まれてしまう状況でも俯瞰して見る意識を持つことができる重要な役だなと思いました。
3.グリーフの学びを活かしたお寺での実践
全国で開催してきた連続講座の卒業生たちがどのような実践をしているのかを紹介していただきました。
・「亡き方へ向けた手紙」
全国各地で作成されている「亡き方へ向けた手紙」は形も使い方もさまざま。
お通夜やお葬儀の際にお渡しして書いていただいたり、お寺に「風のポスト」というポストを設置し投函していただくといった取組みが行われているそうです。
クレヨンなどを一緒にお渡しするとお子さんが絵を描いて棺の中に入れたりといった、文字だけではないメッセージを送ることもできるそうです。
(風のポスト:三重県 真宗高田派 正太寺様の事例)
・「灯火のつどい」
北海道で開催されている「灯火のつどい」では、亡き方へ宛てたメッセージを事前に集め、法要時にお手紙を読み上げます。そのお手紙を読み上げる際に、メッセージを書いた方がろうそくを灯していくといった場がつくられています。
「あの人が亡くなったときにこの場があったらな。」というような早く開催してほしかったというお声もあったそうです。
(灯火のつどい:北海道 浄土真宗本願寺派 覚王寺様の事例)
「みんなが実践しているからといって、自分もなにかしなくてはいけないことはありません。」とてるみん。強制されない場をつくる声がけもこの講座ならではかもしれません。
4.卒業生に聞いてみよう!
ゲストスピーカーとして、2019年の福岡クラスの卒業生、西村聡子さんに来ていただきお話をうかがいました。
Q.講座の推しポイントは?
A.講座は学ぶだけではなくて、実際自分にフォーカスする場がある。自分のグリーフを扱うことで、グリーフと向き合えるようになりました。
Q.自分のグリーフを扱って感じたことは?
A.講座を受ける前は自然体で無理せず聞くことができる自分でありたいから自分を整えたいと思っていました。だけど講座を受けたら整うまでにはとっても時間がかかるということが分かり、整わないなりに向き合っていこうと思うようになりました。
どんな言葉をかけたらいいか分からない…
どうやったら寄り添うことができるんだろう…
そんな悩みを抱えておられる寺院関係者は多いと思います。
わたしはこのお声がけミスったなぁと反省の日々ですが、この連続講座はそういった悩みを解決したりノウハウを学んだりするというよりも、自分が自分のグリーフと向き合う中で自分や誰かをどう大切にできるのかといった「あり方」や「まなざし」を学ぶところだと感じました。
今の自分にはなにができるだろう、学びを経た自分にはなにができるだろう、をステップごとに仲間と考えていける。そんな講座になっていきそうな予感がしています。
いまここの自分も、ありたい自分も大切にしていく中で
隣にいる誰かに寄り添っていけるのかな…と思いました。
本講座は5月21日(火)からはじまります!
講座を受けての感じ方は人それぞれ。
感想や学び、そして悩みをシェアできるのも連続講座のよさだと思うので、一緒に時間を過ごすことができたら嬉しいです。
※連続講座の日程などは下記URLよりご確認ください。
https://www.live-on.me/2024hiroshimagc/
【お申込はこちら】
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSch2w8GADfMpPIoJ7yZ0l41uTwsUHQdVah1-RrPIS43kcSgdQ/viewform