今日は、グリーフの学校(旧・いのちの学校)ファシリテーター養成講座(以下:ファシ講) 第3期の修了生で、現在はグリーフの学校のファシリテーターを務めている
三宅千空(ちーちゃん)の歩みをインタビュー形式でご紹介します。

▼まず、ちーちゃんがファシ講で学びをはじめた理由をお聞かせください。
お寺で様々な方をお迎えするとき、どんなことをお話したらいいのか、大切な方を亡くした方に変なことを言って傷つけてしまわないかと不安と緊張の中でお茶をお出ししていました。前坊守である義母は上手に話を聞きだしたり、相槌を打ったり、ひとこと話しかけたりが上手で、お客さまはほっこりしてほぐれて帰って行かれました。そんな義母と比べて「自分にはまったく自信がな」と困っていた時に、リヴオンの「僧侶のためのグリーフケア連続講座」のチラシが西別院から送られてきたのです。内容を読んで、「これだ!」と思いました。前坊守も「これからのお寺にとても大切なことだと思うから、あなたがお寺の代表として学んで、私たちにも共有してほしい」と快く送り出してくれました。
その後も継続して学びたい、と思っていましたが、当時名古屋で開催された「いのちの学校(グリーフの学校)」は夜間の開催でした。子どもが小さかったので参加が難しく、断念していました。それでも何かできることはないか、と、「大切な人をなくした人のための権利条約」をお寺に置いておいたり、来られた方にお渡ししたりしていました。
そして、ファシリテーター養成講座第3期のお知らせが届きました。昼間の開催、幸い自転車でも通える距離。子どもたちも少し大きくなり、「これは私のための講座だ」「お寺に来られる方とのやり取りに活かしたい」と強く思い、迷いなく講座の受講を希望しました。
以前の学びを共有していた義母にも「それはぜひ行ってらっしゃい」と再び背中を押してもらって、受講を決意しました。
▼グリーフやファシリテーションの学びを通して、人との関わり方に変化はありましたか?
ファシ講は「まず体験し、体感し、解説する」という形で進められていきました。これが、「文字だけよりも体験から学ぶ方が自分にとってわかりやすい」と普段から感じている私にとって、ピッタリな学び方でした。場に入っていくためのチェックイン。ワークの体験と手順の解説。グループで共有することで見えてくる、個別性や共通性。見比べるけれど比較しない、互いの違いを丁寧にまなざしていくことは、人と違う良さを見つけるのを大事に思っている私にとって、ぴったりな場だと感じました。
そしてワークの時、問いかけに答えるか答えないかを自分で決めてもいい。その場にいるかどうかも自分で決めていい~その場を共にするために大切にしたいこと、グラウンドルールがあることは、目からうろこでした。「どんな状態の自分でも、この場にいることを許されている」「他人と自分の物差しはそれぞれ」などと様々な気づきがありました。こうやって、自分も他者も大事にできるんだ、という体感は、ずっと「こうすべき」「これが正解」と考えがちで、でも他者から決めつけられることが嫌で仕方がなかった私のこころを解きほぐしていくようでした。
実際にワークの時に話したことについて、「どうしてそう思ったか聞いてもいいですか?」「その時どう感じましたか?」などと互いに深掘りすることで、「あなたに、あなたの話すことに興味を持っていますよ」と伝わることがわかって驚きました。そしてその問いに答えるかどうかは自分自身で決めていい、とわかっていることの安心も知りました。大切に聴くというのはどういうことか、身をもって知っていきました。
早速、お寺でのお客さんをお迎えする時に取り入れてみました。「○○さんはどんな方でしたか」「もしよかったらお話しくださいね」私自身今まで「自分がどう話すか」が気になって不安だったのが「相手の話を聞かせてもらおう」という心持ちになって、無理なく自然にお話してもらえるようになりました。お話をそのままに聞かせてもらおうと心することで、その方はご自身の振る舞いを気にするより、大切な人のことを話すことに注力するようになりました。また、話すかどうかの選択肢を相手に持ってもらうことで、話してもらわなくては、話してもらえないと気構えることなく、相手が話すときも話さないときもあると聞けるようになりました。

▼ご自身のプロフィールの中にも「引越しから生まれたグリーフ」について触れていますが、これについてお聞きしてもいいですか?
小学生になるまでに何度か、そして人生の節目に、私は引越しを経験してきました。新しい土地でも弱音を吐かずに頑張らなくてはいけない、その時感じた悲しみにはふたをしていたのだと思います。「引っ越しでもグリーフは生まれる」と初めててるみんから聞いた時、「え?そうなの?いいの?」と驚きました。
小学校に上がった時の自分を思い出しました。入学式の次の日、登校班がわからず、学校に向かう集団についていったら「何あの子」「ついてくんな」と言われて泣きながら歩いていました。小学校の隣の会社にお勤めのお姉さんが心配して手を引いて連れて行ってくれたこと。学校でのクラスメイトとのやりとり、困りごとを、親に言っても下の子のお世話でなかなか聞いてもらえなかったこと。親は保育園を始めたところで、自分でなるべくどうにかしなくてはいけないと思っていたこと。妹弟はその保育園に行っていたから自分だけが仲間外れなような気がしていたけれど、それを言うと親を悲しませると思って大きくなるまで言えなかったこと。そういうこと一切を「あの時しんどかったんだ」「さみしかったんだ」と思ってよかった、どこか言えるところがあったらもう少し抱えやすかったり生きやすかったりしたのかもと、知ることができたのは、自分の中で大きな変化でした。
お寺では主に小学生の子どもたちと触れ合うことが多く、元気にふるまっていても、子どもたちなりに失ったものごとや悲しかったことがあるのかも、と心がけるようになりました。時々子どもたちはぽろっと、近しい人が亡くなった時のこと、ただ、こんな悲しいことがあったから聞いてほしい、と、以前よりこぼしてくれる機会が増えたと感じています。
▼ちーちゃんは「ファシリテーショングラフィック」も学んでおられますね。誰かに知識や情報を手渡すことについて感じていることがあればお聞かせください。
人によって、文字情報で伝えてもらった方が飲み込みやすい人、絵で伝えてもらった方が全体の雰囲気がつかみやすい人など、特性があると思います。また、言葉に対するイメージが人によって違うこと(共通性もあるけれど)と学びの中で知りました。時々文字だけだとメモをするのに時間がかかりすぎる、聞いているうちに肝心なところを聞き逃した気がするなど、自分自身で感じていたところを、ファシリテーショングラフィックを学んだことでその言葉を交わしていると、「整理して話せないことが申し訳ない」と思う方がいたり、「それはさっきも言った」と繰り返し聞くことになったり(それはそれで、大切なことを話してくださってるからこその繰り返しなんだなと思いますが)「これはどういう意味?」と思ううちに過ぎてしまって大切なところを取り逃すことがあります。

そんな時にファシリテーショングラフィックは「こんな思いでお話されているのかな?」と表情を描いてみたり、お話の順序が前後するときに、紙の上では「ここあたりのことでしょうか」とお尋ねしたりして、お互いが時系列や人間関係などを確認しながら話を進められます。そうして書き留めることで、「ちゃんと聞いてもらっている」「支離滅裂に話しても大丈夫」と相手に安心感を感じていただけることもあり、ことばと絵で表すファシリテーショングラフィックは大いに役立っていると感じます。
▼教西寺の坊守として、また一人の女性としての変化があれば教えてください。
私はとても世話焼きです。自覚があります。なので、必要以上に「何かしてあげなくては」と行動するところがありました。時にはそれは相手に「受け取らなくてはいけない」という負担感を生み出していたのではないかと思います。
ファシリテーター養成講座を受講して、ただこちらから何かを伝える、与える、やってあげるといったような、一方的な関係でなくなったなあ、と感じています。その場にいる人たちで、その場をつくっていく。互いが大事にしているものを聴きあいながら、安心安全と各々が感じられる場をつくっていく。ファシリテーター養成講座で場づくりを学んだからこそ、お寺での人との関わり方に変な構えがなくなったというか、肩ひじ張らずにやり取りの中で生まれたものを大切にするようになりました。
家族や友人には「話やすくなった」「ちーちゃんの聴き方が変わったから、なんか安心感が増した」と言ってもらうようになりました。経験と学びが相互に影響し合って今の自分があると思います。
▼最後に、ファシ講の受講を考えている方へ、メッセージをお願いします。
受講して気づいたのが、自分は相手とフラットに関わりたいんだということでした。その時のやりとり、相手を大事にするとはどういうことか、ファシリテーター養成講座自体のあり方、リヴオンだからこそのあり方を体感できたからこそ、今、お寺で安心安全に過ごしてもらえる場づくりを心がけられるようになったのだと思います。
ぜひご一緒に、その場を一緒につくりながら学んでみませんか。
2026年6月 開講
グリーフの学校
ファシリテーター養成講座 第4期
名古屋・教西寺で開催|全12講・月1回|定員12名
「自分の地域でグリーフを大切に扱える場をひらきたい」「ワークや分かち合いの進め方を学びたい」――
そんな方に向けて、リヴオンが2012年から培ってきた知識と手法を、約1年かけて体系的にお伝えします。
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お問い合わせ:grief.gakko.liveon@gmail.com
