私は藤井大樹と申しまして、広島で僧侶として活動しています。
仕事柄、喪失の中で主に死別に触れることが多くあります。その場にグリーフの学びを活かして、相手や自分の心身の状態を「そのまま」受け止めていくこと、私たちの心身は無限に多様であり多様であっていいことを伝えることができれば。そういった思いでこの度の養成講座を受講しています。
また、グリーフの観点を知ることで、私の価値観をより広げる・深めることを目指しています。
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養成講座は早いもので第10講。
テーマは「〈伝える〉セルフケア」。
セルフケアとは自分自身(セルフ)を大切にする(ケアする)こと。他者や自分のグリーフを扱うとき、私たちには多かれ少なかれ心身に影響が及びます。そうであるならば、土台である自分をケアすることはとても大事なことではないでしょうか。
今回は、そんな自分を大切にすること(=セルフケア)を〈伝える〉ことがテーマとなります。
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受講生ひとりひとりがセルフケアについて〈伝える〉を実施するのですが、それぞれの講演に共通している点は以下の3つです。
①どんな場面の講演なのかをまず共有する
②5−7分で実際に講演する
③フィードバックで学び合う
実演を前にして、受講する全員にファシリテーターから意識してほしい・大事にしたいポイントが伝えられました。
「セルフケアに関してに限らず、グリーフを伝える際は「実感」大事。そして、セルフケアが苦手な人って多いのです。だから、講演の内容がセルフケアの押し売りにならないように注意してみよう。セルフケアが苦手でも、セルフケアの重要性が伝えられるような講演であると良いと思います。」
みんながその言葉を受け止めながら、いよいよ〈伝える〉時間が始まります。
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ひとりずつ講演を実演する中、私も自分の用意した〈伝える〉を実践しました。
汗をかきながら仲間たちに話します。いつも感じることですが、学んだことを実際に話す、インプットしたことをアウトプットするのはとても難しく刺激的なことです。だからこそ、話した後に仲間たちからもらえるフィードバックに大きな意味があります。
さて、私の〈伝える〉では、自分を知ることが重要であることに時間が多く割かれていて、セルフケアの重要性に時間的にも内容的にも重心が置かれていないことが分かりました。
自分を知ることは重要だけど、それを限られた時間の講演で取り入れるよりも、セルフケアが如何に大事かを伝えることに焦点を当てた方がいい、という具体的な指摘。とても学びになりました。
自分が大事だと思っていることと、伝えるべきことは、時として違うのでしょう。どのように伝わるかという客観性と、何を伝えたいかという主観性のバランスを考えさせられました。
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全員の〈伝える〉が終わってから、みんなで印象的だったことや気づいたことを共有します。同じ方向を向いている同士ですから、どの話も興味深く考えさせられるものばかりでした。誰もが先生、誰もが生徒の学び合いの場が、そこに実現していたように感じました。
養成講座は、いよいよラストスパートという雰囲気です。
仲間たちと一緒に、引き続き学びを深めたいと思います。